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CMSIの拠点: 材料科学拠点 【東北大学金属材料研究所】

p14-terada2Torrentでは、今回からCMSIの各拠点とスーパーコンピュータセンターを紹介していきます。第1回目は材料科学拠点と金属材料研究所に設置されているスーパーコンピューティングシステムの運用ならびに維持管理などを担っている計算材料学センター。CMSI教員の寺田弥生さんがナビゲーターを務めます。

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歴史ある金属材料研究所に設置された拠点
私たちの「CMSI材料科学拠点」 (Computational Materials Research Initiative:略称CMRI)は、東北大学金属材料研究所(以下「金研」)内に設置されています。金研は今からほぼ100年前の1916年、東北帝国大学臨時理化学研究所第二部として発足し、KS磁石鋼を発明した本多光太郎が初代所長を務めたことでよく知られています。金属を中心にした数々の研究成果をあげてきましたが、現在では広範な物質・材料の基礎から応用までの研究を行い、社会に役立つ新たな材料の創出をめざしています。
金研では、1993年にスーパーコンピュータを導入し1994年より運用を開始して、実験・理論に加え第三の研究手法ともいわれるコンピュータを利用した大規模なシミュレーションや数値計算によっても材料科学の研究拠点として活発な活動を行ってきました。2010年に発足したCMSIでは、2011年金研にCMRIが設置され、計算材料科学にかかわる分野振興や、研究の推進、人材育成などを担うこととなりました。また、昨年4月に更新したばかりの金研・計算材料学センターのスーパーコンピュータの資源の20%をCMSI枠として提供し、昨年11月より他拠点からも相互利用ができるようになりました。
 私(寺田)は本年1月にCMRI人材育成・教育担当のCMSI教員として任用されました。4月には、毛利哲夫CMRI拠点長が計算材料学センター長に着任。計算材料科学の拠点としての体制が整いつつあります。

p14-mouri毛利拠点長兼センター長からのメッセージ


本年4月1日に計算材料学センター長として金研に着任しました。これからは当センターとCMSI材料科学拠点の両方の活動に本腰を入れて取り組み、計算材料科学の発展のために頑張りたいと思います。
前任の大学では周囲は学生ばかりでしたが、今の私の周囲は教職員のみです。大人の世界に来た感があります。若い技術職員がこれまで指導してきた学生や院生と年齢が違わないことを考えると、同じ若人でも環境によって随分しっかりするものだと感心しています。センターも拠点も教職員一同、全員意気軒昂です。多くの方々に是非スパコンを利用していただき、同時にCMRIの活動にご協力をいただければ幸いです。

「利用者の声を受け止め、スーパーコンピュータの利便性向上に努めています」
 CMRIの多様な活動の一翼を支えているのがスーパーコンピュータの運用業務にあたる「技術職員」の皆さんです。今回は、計算材料学センターで13年間、プログラムやジョブ実行の相談などユーザー対応にあたってきた五十嵐伸昭さんに、当センターの紹介と業務に対するやりがいなどを語ってもらいました。

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五十嵐 伸昭 いがらしのぶあき


会津大学でコンピュータシステム学を専攻して修士取得。東北大学内のいくつかの部署を見学し、2001年2月にスーパーコンピュータが更新予定だったこちらの職場を選びました。今年度からはスパコンシステムの取りまとめ役を務めるようになり、責任を感じています。

 「計算材料学センターは共同利用センターで、年間利用者数は100名を超えています。昨年度は、そのうちの36名が海外からの利用者と国際色豊かです。当センターでは、利用者の多様なリクエストに応えるため、フリーソフトウェアも含めて多数のアプリケーションを提供しています。要望があれば、フリーソフトウェアのインストール支援も行うなど、きめ細かな対応をしていることが特色です。それがスーパーコンピュータの利便性向上につながります。また、日々進化するスーパーコンピュータの数年ごとの更新によって常に最先端に挑戦できることに、やりがいを感じています。
 昨年度から利用が開始されたCMSI枠の利用者は、独自に開発したコードでの大規模計算が多いため、多ノードを使用するキューを増やすなどして利用しやすいようにしました。金研のスーパーコンピュータで研究成果を出していただくことがなによりですので、積極的な意見や要望をお寄せください。海外の利用者は、もっと気楽にメールなどで質問してこられます。利用者の声によって、より利便性のよいスーパーコンピューティングシステムをつくることができると思っています」。
 計算材料学センターでは、五十嵐さんを含めて計5名の技術職員と常駐SE2名がスーパーコンピュータの運用にあたっています。私が担当する人材育成・教育の面でも、技術職員の皆さんの力が欠かせません。計算材料科学の研究者や技術者が京やその次の世代のスーパーコンピュータにも対応できるようにするためには、工学や理学などの専門知識だけでなく、計算機科学の知識が不可欠です。そのための教育には、技術職員の皆さんが蓄積してきた経験や知識に助けられることも多いからです。
 このように技術職員の皆さんに支えられ、CMRIの活動を行っています。CMRIではこれからも、技術職員、研究者、次世代の人材育成・教育にあたる教員がそれぞれの役割をしっかり果たし、またコミュニケーションを図ることによって、より充実した活動を展開していきたいと思っています。

p14-all CMRIと計算材料学センターのスタッフ。後列左より佐藤和弘さん(技術職員)、大滝大河さん(技術職員)、水関博志准教授(兼)、五十嵐伸昭さん(技術職員)、丹野航太さん(技術職員)、加藤 顕枝さん、前列左より毛利哲夫拠点長、一関京子さん(技術職員)と、寺田弥生(兼)、門脇 希さん。写真の背景は金属博物館から寄贈された(株) 日本製鋼所において作製された1969年当時世界最大の400トンのMn-Mo-Niの低合金鋼インゴット断面試料。