ナノサイエンスの次世代を、3分野が結集して
~めざすのは、想像を超える現実~
CMSI「 計算物質科学イニシアティブ」は「次世代スーパーコンピュータ戦略プログラム」の分野2<新物質・エネルギー創成>を進める研究ネットワーク拠点です。物性科学・分子科学・材料科学の戦略機関3研究所、ならびに11の協力機関を中核として、分野の壁を越えた研究組織が生まれます。
CMSIは、この分野に関心のある産官学の研究者や開発者が自由に参加できる開かれたコミュニティーを育てます。計算物質科学という新しい分野をともに開拓しようではありませんか。 目標は計算物質科学により、基礎科学の源流を物質機能とエネルギー変換を操る奔流に拡大・深化させることです。そのための道筋として、次のような戦略課題を設けました。
◆次世代先端デバイス科学半導体デバイスの微細化が進むと、ごく近い将来、既存の手法による半導体デバイスの動作予測や設計が困難になると言われています。次世代スパコンによって、電子論に基づいた現実的なナノスケールデバイスのまるごとシミュレーションを実現し、ナノの現象を支配する量子効果を正しく取り入れた新しいデバイスの設計指針を探ります。 |
◆エネルギー変換いま求められているのは、エネルギーの変換と貯蔵の方法を一新させる物質群です。 これまでにない大規模なシミュレーションによって燃料電池やメタンハイドレートなどの基礎過程を明らかにし、有望な物質を探りあてます。 計算物質科学が次世代エネルギー技術の基盤を築きます。 |
◆分子機能と物質変換ナノスケールの分子や分子集団の構造と機能発現を解明し、機能の制御をめざします。たとえば、そうした分子集団のひとつであるウイルス。その全原子シミュレーションを次世代スパコンによって行い、感染や免疫の分子機構を解き明かします。 抗ウイルス剤がどう作用するかを知れば、ウイルス制御と感染症克服への道が開けるはずです。 |
◆新量子相・新物質の基礎科学新しい物理概念や量子機能の発見・解明・予測など、物質の多様性や階層性に関する基礎研究の成果は、人類の知的財産であると同時に、将来の応用研究につながる大切な源流です。相関の強い量子系の新量子相探索や電子系のダイナミクスの解明、分子の微細量子構造予測、揺らぎとダイナミクスによる機能発現など、物性物理学と量子化学の先端的な基礎課題を進めます。この豊かな源流が、将来、大河となって広い大地をうるおす日が来ることでしょう。 |
CMSI はこれらの課題研究を戦略的に推進する一方、将来の課題候補となる研究を、幅広く支援することで、計算物質科学分野の振興をめざします。