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「京」だよりSC11 レポート

Truong Vinh Truong Duy チュオン ヴィン チュオン ズイ 北陸先端科学技術大学院大学 (JAIST) 先端融合領域研究院

 

2011年11月12日から18日まで、私は米国シアトルで開かれたSC11に出席しました。
SC (かつてのSupercomputing ) は、ハイパフォーマンスピューティング(HPC)、ネットワーク、ストレージ、分析に関する国際会議です。1988年以来、計算機に関わるほぼすべての分野に、情報交換と課題検討の場を提供し
てきました。今回のSC11には約1万1000人が参加。投稿された論文数は350以上で、その20%が採択されました。また、23のワークショップと33の大学を含む349グループの展示がありました。
私たち JAISTは、OpenMXやGreenCloudなどの研究活動を紹介するため、ブースにおいて3次元液晶ディスプレーによるシミュレーション結果の上映やO(N)大規模第一原理計算に関するポスター展示などを行いました。また、CMSI拠点研究員として、HPC分野の最近の進歩について学ぶため、ゴードンベル賞のファイナリストによる講演やHPCチャレンジ賞、TOP500、GPUによる計算、密度汎関数法(DFT)、性能分析と最適化などのセッションに参加しました。
今回の国際会議では「京」コンピュータの存在は際立っていました。ゴードンベル・ピーク性能賞受賞、HPCチャレンジにおけるすべてのベンチマーク第1位、TOP500第1位という3つを独占したのです。
一方、多くのセッションが並行して行われました。その数があまりにも多く、また商業色が強く、学術的な国際会議とは言いがたいなど、SC11も完璧とは言えません。しかしながら、GPUがDFTや量子色力学(QCD)計算に応用され成功を収めつつあり、今後ますます広まっていく動向がつかめました。すでにペタスケールのアプリケーションも登場し、今後10年以内にはエクサスケールのスーパーコンピュータも実現すると期待されています。エクサスケールはおそらくマルチコアのCPUとGPUからなるハイブリッド型、あるいはARMアーキテクチャによる統合チップとなるようです。また、ハイブリッドプログラミングや非ブロッキング集団通信のサポートが加わる次期MPIについて、最新の情報を得ることができました。将来のスーパーコンピュータにおけるスケーラブルかつ互換性のあるアルゴリズム開発の指針についても、学ぶことができ、SC11への参加は私にとって非常に意義深いものでした。


撮影:チュオン ヴィン チュオン ズイ