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ナノ構造体における光誘起電子ダイナミクスと光・電子機能性量子デバイスの開発

 


この特別支援課題ではどのような研究を行っていますか。

電子デバイスは電子の動きを利用したものですが、電子の機能性だけではなく光の機能性も利用し、より小さく、より省電力化、より高速化、外的な影響により強い光・電子機能性量子デバイスを基礎理学的な観点から理論的に設計することを目標として研究を進めています。次世代電磁場エネルギー伝播デバイス(導波路)や量子データ転送デバイス、また、太陽光のエネルギーを効率よく電気や化学的なエネルギーに変換する太陽電池や光触媒などの開発に貢献できる設計指針を計算科学の立場から提案することが最重要課題です。


なぜ「京」コンピュータを使って理論設計しなければいけないのですか?

われわれが対象とする光・電子次世代量子デバイスの機能性は、数~十数ナノメートルサイズのきわめて小さな領域で起こる電子と光の複雑な絡み合いや運動によって支配されています。デバイス設計に向けた実験・開発研究と相補的に、理論計算に基づくデバイス設計を行い、得られた結果を実験・開発
の現場にフィードバックし、理論・実験の両面からデバイス開発を進展させることが非常に重要になります。
ナノメートルサイズのデバイスで起こると予想される光と電子の振る舞いは、量子力学に基づく方程式で記述できます。この方程式を実在のデバイスを想定して解くためには、非常に大規模な計算が必要です。われわれのグループでは「京」コンピュータの約3分の1の資源である約20万コアを使って効率的に光と電子の振る舞いを記述するためのプログラムを完成させました。


今後の展望をお聞かせ下さい。

次世代デバイスの開発は、基礎研究から応用開発に至までその研究領域は多岐にわたっており、それ故に、解決すべき課題を明確にすることはきわめて重要です。われわれは、「京」コンピュータを最大限に利用して基礎学術的な観点からデバイス動作メカニズムの解明や新奇機能性発現の理論予測等を行い、デバイス設計の指導原理となりうるナノ光応答理論の確立をめざしています。